フジ子ヘミングがNHKのTVに出ていたので
たまには書く気になったわけですが。NHKのインタビュアー(若い男女二人)がヘタクソで、こういうちょっと斜に構えたおばさん相手に、いやにストレートというか素朴な質問を繰り返していたのは残念でした。変化球でおもろい話を引き出さなければプロではないですねー。
そういえば、この人の評価はどうなんだろうとネット検索。結構シビアな意見と、絶賛する意見とで分かれるようであります。たとえば否定論者:
◆あんなトロいのは、「ラ・カンパネラ」ではない。
他人がどんな音楽のどんな演奏を好もうが、私がとやかく言うべきでないことぐらいは、私とて承知しているが、このオバサンばかりは我慢がならん。
リストのピアノ曲などというものは、テクニックを「見せる」ためにある。音楽的な価値という点では、ショパンや、シューマンや、ましてやモーツァルトやバッハと比べるのも失礼な作曲家なのだ。
ラ・カンパネラはもともと、ヴァイオリンの奇才、パガニーニのヴァイオリンコンチェルトの主題をそのまま使って書いたピアノ曲だ。それに、リストがさまざまな修飾を施して、ピアノ独奏用の曲にした。
とにかく難しいテクニックのてんこ盛りである。それを如何に、スピード感を維持して弾ききるか、というのがピアニストのうでの見せ所なのだ。
ところが、フジコ・ヘミングのテンポ設定は遅すぎる。早く弾けるのに独自の解釈で遅く弾いているのではない。本来のテンポでは弾けないから、遅く弾いているのだ。彼女がチェコのオーケストラ(天下のチェコ・フィルではない、2流どころ)とチャイコフスキーのコンチェルトを合わせるのを聴いて、良く分かった。
絶対的なテクニックが不足しているのである。
プロのピアニストたるもの、「カンパネラ」に限らず、楽譜に指定された、本来のテンポで弾けないのなら、その曲を客の前で弾いて、或いは録音をして、カネを取るべきではない。
そういう人物が、マスコミに乗せられて、自分が上手くなったつもりでいる。他のピアニストで「カンパネラ」を聴いたことがない人はそれでだませるだろう。
しかし、他の音楽家や長く音楽を聴いている聴衆はあきれている。私は、演奏家をこれほど酷評するのは初めてだ。それほど、許せないほど、ヘタクソなのである。
フジ子ヘミングさんの壮絶な半生がもともと話題になって、同情が集まって人気になったなんて見方をする人もいるようです。
私は肯定的な立場。フジ子さんマンセー。すべての芸術はその人の人生丸ごとハウマッチで評価されると思っているわけです。
壮絶な半生ということでは最近人気の綾戸智恵さんなんかもそう。この人のジャズを私は音楽的には評価しないですが、存在そのものは大好きではあります。
苦労したおばさんたちが、なんかのきっかけでブームになって何が悪い。これも実力のうちでしょう。がんばって欲しいものではあります。